この町内の片隅から

よく分からない

その人は、聞こえないと思ったのでしょう。



その人が下を向いて苛立たしげにボソッと呟いた言葉はハッキリ聞き取れました。


『セルフがあるのに!』
舌打ちまで聞こえてきそうで、一瞬凍りつきました。


久しぶりに利用したコンビニには、
有人レジの隣に、以前は無かった完全セルフレジが設置されていました。


もし手間取ったら、結局、店員さんを呼ぶハメになるかもしれない、
少々気が咎めながらも、ここは安全第一と
有人レジにある呼び鈴を鳴らして店員さんに清算してもらった時のことです。


『ありがとう』も無く無言でした。
よっぽど面白くなかったのか
終始俯き加減でした。



妙な表現で、目には見えないですが、
苛立たしげな言葉から無数の赤いトゲトゲしたモノが飛んで来ました。
そのうちの幾つかが未だに刺さっているようです。


些細なことでも、
自分の中でいつまでもぐずぐず燻っている言葉ってあります。
調子がわるいと蘇ってきます。


忘れたり、突然思いだしたり、また忘れたりを繰り返し、
時間をかけて漸くうっすらとなります。




かなりどうでもよくなってきていますが、



さっさと失せろ。棘
















どこからか飛んできたのか?
わざわざここに干してあるのか?



帰り道、或るオジサンが
至極当然といった顔つきで、コレをを取り入れる場面に出会しました。
その日のうちにアッサリと疑問が解け、非常に幸運でした。