この町内の片隅から

よく分からない

梅雨時に思う ③


助け舟を出してくれたのは、その時小学校4年、10歳だった下の息子の同級生の
お母さんでした。

『冬休みの間、◯◯くん、1人になっちゃうでしょ。昼間、うちで預かるよ。』
 

入院して幾日も経たぬうちに冬休みに入ってしまい、

(どうしたもんかなぁ、ずっと1人で可哀想だなぁ…)
と案じていた矢先の申し出でした。



いろんなことを気にしていたらキリがないので、
少し離れたお宅の方でしたが、息子はその同級生と非常に仲が良かったこともあり、
お願いすることにしました。


週末と年末年始以外、毎朝ウチまで迎えに来て下さり、
宿題の仕上げ、外遊び、お昼ご飯、おやつ…
夕方にはすっかり満足した息子を、ウチまで送り届けて下さいました。

時には、『会いたいでしょ?』
と息子を病院まで連れてきて下さいました。




どんなに有難かったことか!





その彼女は、時としていい加減で(失礼)
約束の時間を忘れたり、
何故か分かりませんが
(きっと、人に言えない事情があるのでしょう。)
ときどき急に音信不通になったり、LINEの既読が半年くらい付かなかったり…
ちょっとヘンな人なのですが、
そのような些細なことはあまり気になりません。というか?慣らされた?
(たまに少し腹が立つけどすぐ忘れる)


つい1週間ほど前も、何年か振りに会う約束をしたのですが、
最初から半分諦めながら、それでも少しわくわくして待っていたのですが、
やっぱり待ち合わせ場所に現れませんでした。


…間に合わなかったそうです。






硬膜下血腫…頭の中にできた血溜まりが広がったら手術だと
聞き、恐れ慄いていたのですが、不思議なことに出血は自然に
止まったのでした。
安静と定期的な検査のために1ヶ月ほど入院しました。


程よく空調は効いているし、1日3食、美味しいご飯は出てくるし、
(病院のご飯は、どれもこれもすごく美味しかったです。馴染みのある味でした。
残す人もいるので不思議に思っていました。)

午後の好きな時間に
入浴出来るし、片付けもしなくていいし、
本は読み放題だし
(別の友だちが、図書館で定期的に本を借りてきてくれました。)

いま思うと、すごく居心地のいい空間でした。




…しかし、年明けて退院の日、久しぶりに外に出た日、
何だコレは?自分の身体が『薄い紙』のようにペラペラになっている…

そう感じて、非常に心細い思いをしたのでした。