この町内の片隅から

よく分からない

きのこ


草叢に白いボールがいっぱい落ちてる?


近寄って確かめましたら、先日から見たくて見たくて仕方がなかった『きのこ』でした。
こんなに早く願いが叶うなんて!
嬉しくて、つい何枚か撮ってしまいました。



ひょろひょろと彼岸花も咲いていました。



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週に1日、毎週金曜日だけ店を開ける『パン屋さん』に行こうと
線路沿いをてくてく歩いていました。
ひとつ向こうの駅とうちの最寄駅の中程にそのお店はあります。



昼間はまだ日差しが強い中、日傘を差し人気のない線路沿いを歩いていましたら、
数十メートル先にやっぱり線路沿いを歩いている1人の女の人がいました。
白地にところどころ青が散る浴衣姿です。
どうやら青は桔梗の花のようでした。


見るともなくその人を見たのですが、どことなく様子がおかしいのです。
背中まで伸びた長い髪は櫛が通っていないのか、てんでバラバラ、
寝起きのように乱れています。
遠目にも、うっすらと脂じみている様子が窺えます。


右に左によろめきながら、手ぶらで裸足でした。




途中にある踏み切りまで来ました。


カンカンカンカン!
踏み切りの警報機が忙しげに鳴っています。
しかし、その人は警報機が鳴り響く中、なんの躊躇いもなく、
踏み切りの中にずんずん入って行くのです。


遮断機が下りました。


(危ない!止めなきゃ!)


しかし、声を掛けることが出来ず、呆然と踏み切りの手前で突っ立っているだけでした。
 


突然、女の人がクルリとこちらを振り向きました。
病的なまでの白い肌に真っ赤な毒々しい口紅を塗りたくった大きな口で
わたしを見てニヤリと笑いました。



轟音と共に上りの電車がやってきました。


怖くて怖くて思わずギュッと目を瞑りました。
脳裏には、真っ赤に染まる線路が浮かびます。


電車が通り過ぎ、静かに遮断機が上がりました。
恐る恐る目を開けました。


踏み切りの中は日常と寸分違わぬ光景です。
浴衣の女の人は影も形もありません。



あの人は何処に行ったんだろう?



不思議に思いながら、また再び線路沿いを歩き出しました。


ふと気になってもう一度踏み切りの向こうを見ましたら、
去年も一昨年もその前も、そこにはなかった筈の真っ赤な彼岸花が
いつの間にか数本ひょろひょろと咲いていたのです。






※  週に1日だけ営業するというパン屋さん以外、全部わたしの妄想です。
 彼岸花、曼珠沙華、死人花、地獄花、幽霊花、毒花、蛇花…


 わたしの中で、その花のイメージは白地に青い浴衣を着た狂気じみた
 年齢不詳の女の人なのです。


きのこ、お化粧しました。