この町内の片隅から

よく分からない

花粉の日々


今年も、怖れていた日がやってきた。


ある朝起きたら、目が腫れ上がっていた
とてつもなくダルい 


何年か前の春先、突然症状が現れて以来、
それは毎年律儀にやってくる。



この頃は空気が乾燥するから、唇がカサカサに荒れて時には血が滲む
ダル過ぎて、リップひとつ塗ることすら面倒だ
(ムラがあるが、自前の口紅とも言える)


指先も手の爪も割れてあちこち不快に引っかかる。


この時期、生活の質がガクンと落ちる。




いつだったか近所の耳鼻科で診てもらったことがある
新しいクスリとやらを出してくれた。


期待に胸弾ませ、2日経ち3日経ち5日経ち…


再び病院を訪れた。



『先生、効かないみたいです』
『あらそうだった?じゃ、こっちのクスリに変えましょうか?』


残ったクスリを引き取ってくれるわけでもない
まだ残っているクスリはどうしたらいいのだ
次のクスリは今度こそ効くのだろうか?


2度3度同じことが繰り返されるうちに
花粉のシーズンが終わった
幾つもクスリを捨てた。


シーズンが終わったから治ったのか、
最後に処方されたクスリが効いたのか…
謎だ。


それからは、どんなにしんどくても病院に行ってない。




雪混じりの冷たい風が吹きつける日だった
近所のドラッグストアにふらふらと吸い込まれるように入った。


ズラリと並ぶアレルギーの飲み薬 目薬 点鼻薬
どれを選んでいいか分からない
以前、クスリを選ぶとき、ここの薬剤師さんに相談したことがある。


全然効かなかった



自分の勘で選ぶことにする
誰も信じられない
なにも信じられない


どれもそう変わらんだろう?


あーダルくて何をするのもメンドーだ
シーズンだからか?特売日だからか?
一台しかないレジは長蛇の列だ


ダルい
しんどい
痒い
眠い
イラつく
唇が痛い
ささくれて血が滲む指先がジンジンする
顔が腫れぼったい
目が腫れ上がっている気がする
恨めしい
長い列に並びたくない
今にも暴走しそうに気持ちがささくれ立っている



エコバッグの奥にある財布を取り出すのもメンドーだ
バッグの中の整理もできずぐちゃぐちゃだ
財布がでてこない
そもそも財布を持ってきただろうか。


お釣りを貰うのもメンドーだ
お釣りを仕舞うのもメンドーだ
一連のやり取りを考えただけでうんざりする


欲しいのは一箱のクスリ
この場で、バッグにサッと滑りこませても
分からないかも?



早く帰りたい
ダルい
痒い
眠い
立っていられない
横になりたい
イラつく




無意識のうちに青い箱に手が伸びた。




その時!


『こんにちは!久しぶり!』


ハッと顔を上げたら、近所の友だちだった


寸前で、我に返った。




そのつもりはなくても、
気づかぬうちに他人様を救っていることが
あるかもしれない、
救われていることがあるかもしれない


神の采配かもしれない、
しみじみ思いながら帰った。


28錠14日分のクスリは効くかどうか分からない




※ 事実を書こうとしましたが、途中から妄想混じりになってしまいました。
※ そういえば、桃の節句なので画像だけでも華やかなものを探しました。
 これしか無かったです
 先日、参拝した金運の神社です。