この町内の片隅から

よく分からない

ライトアップ

あさこ

雨粒 - この町内の片隅から

カイダン 怪談 - この町内の片隅から


(ねぇ…何でこんなに明るいの?何でこんなにたくさんの人がいるの?)



どこからか、幼子の囁きがしました。


(だれ?だれかいるの?)


賑やかにライトアップされた木の枝に、10センチくらいの女の子が眉を八の字にして、

引っかかっています。


あれは夏の夕暮れだったでしょうか。

西の空を真っ赤に染めて太陽が沈むころ、

寂しげに階段の端っこに引っかかっていた、10センチくらいの女の子。

あのときの女の子が、こちらを見ています。


(やっぱり気づいてくれた!階段で会ったよね!)


(何してんの?そんなとこで?)


(わたしねーもうどこに行ったらいいか分からないの。天に頼まれたお仕事もした。

いっぱいした。だけどわたしは変わらないの。どうしたらいいか分からない)


がんばれば、希望があると信じていたのでしょう。

彼女の落ち着き先が何処なのか分かりませんが、ここじゃないことは確かです。

途方に暮れた目を見ればわかります。


はじめて会った日、夕暮れの階段で会ったとき、

彼女は、こんな目をしていませんでした。

なんとかなる、きっといいことがある、そう信じてキラキラした目をしていたように

思います。

何回もの『がっかり』を繰り返して、心がすり減ったのでしょうか。


(どっかの階段でまた会える?次は日が暮れるまでお話しできる?)


(会えるよ。そうしたら、日が暮れるまでお話ししよう)


約束すると、彼女はホッと安心した顔になりました。


(ここは明るすぎるから行くね。きらきらし過ぎてざわざわする。どうしてこんなにきらきらさせるんだろうね?そっとしといてほしいよ)



そう呟くと、ろうそくの灯がフッと消えるように、女の子は消えてしまいました。