この町内の片隅から

よく分からない

カイダン 怪談

あさこ



(ねぇ…皆んな、どこへ行こうとしてるの?
何でいつもセカセカ歩いているの?)


階段の端っこから、幼子の囁きがしました。


(だれ?だれかいるの?)


端っこも端っこ。腰を浅く引っ掛けて今にも落っこちそうな格好で
10センチくらいの女の子が、眉を八の字にしてこちらを見ていました。


(はじめてだ!皆んなに声をかけるんだけど、誰も気づかないよ。
皆んな行ってしまうよ)


(何してんの?あんた誰?)


(わたしにも分かんない。でも1人で寂しかった。こっち見てくれて嬉しいよ)




階段の端っこには、行き場のない魂が落っこちそうになりながら、
ぶらぶらと所在無げに座っていることがあるのかもしれません。


(ごめん、急いでないけど、もう行くね)


(どっかの階段でまた会える?気づいてくれる?
次は、日が暮れるまで隣にいてくれる?)


返事はできませんでした。
何度も振り返りながら、階段を下りました。