この町内の片隅から

よく分からない

恨み


『…もしかして、◯◯くん、チョコ食べたことなかった?』


下の息子が2歳の頃だったでしょうか。


その頃親しくしていた息子の友だちのお母さんに、
ほんの数時間、息子を預かってもらった時のことです。


用が済んだので、急いで引き取りに伺いましたら、
開口一番
笑っていいのか謝ったらいいのか決めかねるような
複雑な表情でそのように言われました。


おやつのつもりで、息子の口に小さなチョコをひとつ
放り込んだら


生まれて初めての強烈なお味に
びっくりして目をまん丸にした彼は棒立ちになったそうです。


預かってもらった手前もあり、咄嗟に何でもない表情を作りましたが、


(チョコはもう少し時間を置くつもりだった。
その初めての表情はわたしが見たかったのに悔しいわ)


心のモヤモヤを抱えて帰りました。
今でも時々モヤモヤとした気持ちを思いだします。
それを世間一般で『恨み』と呼ぶのでしょうか。
(わたし自身も何処で恨みを買っているか分かりません)



彼らが幼い頃から、口にするモノには神経を尖らせてきました。
さまざまな意見が錯綜する中、
真実は何処にあるのか定かではありませんが、
国の基準は信用できませんので、その昔には存在しなかった
添加物などは出来るだけ避けた方がいい、
そのように思って気をつけてきました。


信頼して購入した生協の商品の原材料名を見てガックリ したこともあります。
友だちとの兼ね合いで、ケバケバしい色の駄菓子を与えざるを得ないとき
彼らの嬉しそうな顔を横目に、シュンと萎む自分がいました。
あまり禁止しても反動が来るかもしれない、
振り子のように揺れる気持ちで選択が苦しい時もありました。
悔しいですが、個人で出来ることには限界があります。


ある程度成長すると、ものすごく食べるようになりましたから、
『質より量』に路線を変更せざるを得なくなりましたが…




年末のある日、普段ほとんど口にすることのないウィンナーソーセージがどうしても
食べたくなりました。
規模の大きなスーパーにて、何気なく加工肉コーナーを覗いた時です。
いちばん端に並ぶハムやらウィンナーの原材料名を見て
思わず心の中で歓声を上げてしまいました。


嬉しかったです。
この素晴らしい原材料名。





相変わらず、長時間労働に悩む下の息子に


『ここに転職させてもらヤァ、切れ端でも貰ってきて』


そうコメントし、お裾分けにと画像だけ送りました。
腹の足しにもなりません。


お値段は、毎度お馴染みのウィンナーに比べ倍くらいしますが、
正月だし、滅多に買わないモノだからいいのです。
一生懸命そう思い込んで、
震える手でカゴに放り込みました。


嬉し過ぎて大事にし過ぎて、賞味期限が切れました。
焼いて食べたらめちゃくちゃ美味しかったです。



はじめてチョコを口にし、目をまん丸にした可愛すぎる息子の
顔を見ることができなかった悲しみと、
表すことの出来なかった恨みも少しは薄れました。





ウィンナーソーセージと序でに素朴な晩ごはんの画像です。


やむを得ず、スーパーの惣菜やら弁当を購入する時もあります。
気持ちが宙を飛んで彷徨うと、やたら甘いものがほしくなります。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



社名を出していいものかどうか判断がつきませんので、
モザイクをかけました。
(たぶんいいんじゃないかと思いましたが…)


次に購入するのはいつになるか分かりませんが、
全力でこの会社を応援したいです。