この町内の片隅から

よく分からない

宝くじ

あの日から、ふとした瞬間に脳内がわくわくします。 


連番10枚購入しました。


何度裏切られても、
当選発表の日まで、完膚なきまでに打ち砕かれるその日まで、
当たることしか頭にありません。
みずほ銀行の応接室で『その日から読む本』を恭しく受け取る自分が
目に浮かぶようです。



本当に当選したい訳じゃなく(いえいえ当選したいです)
暫しのわくわく感の為に、我ながらバカだと思いながらも
ときどきひっそりと購入するのです。



これまで様々な細工を施してきました。


家の西側に黄色いモノを並べたり…蜜柑が腐りかけたので慌てて引き上げました。
真っ赤なパンツを毎日身に着けたり…濃い色は汚れ具合がよく分かりません。
手のひらをマジックで金運の手相に加工したり…購入時に見たら
緊張で汗ばんだせいか、金運の線が滲んでいました。



何をどうしても効果がないので、今回は何の細工も施していません。
自然体、ありのままです。
ピュアな気持ちで淡々と購入したので、より一層当たる気がします。



わくわくできる抽選日までの数日間がいちばん好きです。
わくわくを感じたくて購入するのですから。
最終日に購入したので、あっという間に抽選日がきてしまいます。


この時間を少しでも長引かせたいので、当選発表がされてもすぐ調べず、
何日も何週間も何ヶ月もやり過ごすことがあります。


いつだったかの暑い夏、何かの拍子に宝くじのことを
フッと思いだしました。


暑さのせいばかりではない冷たい汗が、額をタラリと伝いました。
流れ落ちる汗を拭うことも忘れ、震える手で
寝かせたままの宝くじを押入れの奥から取り出しました。


イヤな予感というのは当たるものです。
支払い期限は、とうの昔に切れていました。



がっくりしながら、
今更調べても仕方ないと思いながら、
それでも当選番号を調べましたら…





なんでっ!
どうして!
こんな時に限って!
なんでっ!





当たっていました…






300円